SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に関するフェアトレード

SDGs目標達成に向けて人や国の平等をなくすために

世界に住む人々はあらゆる面で平等であるべきですが、実際には一国内あるいは国家間の不平等が存在し、問題となっています。それは性別や年齢、障害、人種、民族などを理由とした差別は、その国の中の所得格差の是正を阻害する要因になります。そういった差別における収入の不平等をなくすためには、機会均等を図る必要があり、先進国と途上国の間の経済格差を是正するためには、途上国への資金流入の促進や途上国が輸出する品目への特別な待遇が求められます。

これは、これまでに行われていた途上国と先進国との間の貿易において、途上国から輸出される品目が公平ではない低い価格で売買が行われ、途上国の発展に大きな妨げとなり、経済格差が是正されていない現状が要因となっています。

そこで持続可能な開発目標(SDGs)では、貿易などによる経済格差も含め、目標10に「人や国の不平等をなくそう」と掲げ、ターゲットを定めて世界各国で取り組みが行われています。
特に貿易関係においてはターゲットの10.aで世界貿易機関(WTO)協定に従った開発途上国への特別、且つ異なる待遇の原則を実施することを各国に求めています。

  • 一国内あるいは国家間の不平等が存在する。
  • 性別や年齢、障害、人種、民族などを理由とした差別は、その国の中の所得格差の是正を阻害する要因になる。
  • 途上国と先進国との間の貿易において、途上国から輸出される品目が公平ではない低い価格で売買が行われていた。

開発途上国を守るフェアトレードとは

世界の経済格差を是正するため、また公平な貿易を行うために格差がある先進国と開発途上国の間の貿易では特別な待遇が求められています。ただそれは国家間の話であり、貿易においては製品を販売する者と消費者が存在し、その両者がお互いに対等であることが必要となります。このように対等な取引関係を達成するためのパートナーシップによる貿易が「フェアトレード」というものになります。

フェアトレードでは輸入業者であるフェアトレード団体が生産者と共に製品開発を行い、彼らに技術指導を行って、出来上がった製品を適正な価格で輸入し販売します。これまでの貿易では取引関係には大きな格差があり、世界貿易のシステムやWTOは先進国にとって有利な形となっていました。また世界貿易システムにおいては、商品そのものがどのような過程、条件で作られているのか考慮されていませんでした。


他にも児童労働、環境破壊などを代償として作られた製品が含まれていたとしても関係なく、自由な紡績を最優先する仕組みとなっている問題もありました。そこで世界フェアトレード機関(WFTO)という組織がフェアトレードについて基準と定義を定め、適正なフェアトレードが行われるよう、条件・システム作りが行われました。

フェアトレードにおける10原則

WFTOは、フェアトレード組織(以下「組織」とする)が日々の活動で従うべき10の原則を定め、これらの原則が守られているかをモニタリングします

原則1:経済的弱者である生産者に機会を与える

貿易を通しての貧困削減が、組織の主な目的です。組織は、疎外された自営業および家族営業、または連合や協同組合グループなどの小規模生産者を支援し、それら小規模生産者が貧困や収入が不安定な状態から抜け出し、経済的な自立、そして所有権を得られるようにします。組織はこれを実行するための計画を作成します。

原則2:透明性と説明責任

組織は、経営そして通商関係において透明性を持っています。すべての出資者に対し説明義務があり、提供された商業的情報の機密性と守秘義務を守ります。また、従業員、メンバーそして生産者を意思決定のプロセスに関与させる、適切な参加型の方法を採用し、有効な情報が貿易相手すべてに提供されることを保証します。全レベルのサプライチェーンで、いつでも意思の疎通ができる関係を保ちます。

原則3:フェアトレードの実行

組織は、孤立している小規模生産者たちの社会的、経済的そして環境における福利に配慮した貿易をおこないます。時間通りに義務を果たすことは、信頼性のあるプロフェッショナルであるということです。サプライヤーは契約を尊重し、求められる品質、また仕様の製品を時間通りに配送します。

フェアトレードのバイヤーは経済的不利益を被っている生産者そしてサプライヤーを一人ひとり把握し、領収書の通りに注文が支払われていることを、付属のガイドラインに基づいて確認します。手工芸品のフェアトレード製品は、要求があれば支払額の最低50%を無利息で事前に支払うことになります。食料品のフェアトレード製品は、要求があれば支払額の最低50%を妥当な金利で支払うことになります。サプライヤーが支払う金利が、第三者のバイヤーからの借り入れコストよりも高くなってはなりません。利息を課す必要はありません。

南半球のフェアトレードサプライヤーは、バイヤーから事前支払いを受けとり、この支払金が生産者、そしてフェアトレード製品を生産・栽培する農家に渡っていることを確認します。バイヤーは、注文をキャンセルまたは破棄する前にサプライヤーと話し合いをします。注文が、生産者およびサプライヤーの失態とは関係なくキャンセルされた場合、すでに行われた仕事に相当する補償金が支払われます。サプライヤーと生産者は、配送に問題がないかバイヤーと相談し、数量そして品質が送り状に記載されているものと異なる場合、補償がきちんと支払われているかを確認します。

組織は、フェアトレードの振興や成長のもとなる連帯感、信頼性そして相互尊重に基づいて、長期的な関係を維持します。そうすることで、貿易相手との有効的なコミュニケーションを維持します。貿易関係の従事者たちは、成長するフェアトレードの生産者の収入を増やすため、貿易の規模そして製品の価値や多様性の拡大に努めます。組織は、国内の他のフェアトレード組織と共同運営をしており、不正競争を防ぎます。共同運営によって、許可なしに他の組織のデザインやパターンを複製してしまうことを避けられます。

フェアトレードは、工芸品のデザインや食料品、または他の関連事業に反映されている小規模生産者の文化的アイデンティティーおよび伝統技術を尊重、助成そして保護します。

原則4: 公正価格

公正価格設定は、話し合いと参加を通して相互合意に至った事項です。生産者が公正な支払いを受けることを可能にし、また市場においても(設定価格は)維持されます。フェアトレードの価格構成があるところでは、公平価格が最低価格として取り扱われます。公平価格は、地域ごとの生産者本人が、社会的に受け入れられる報酬だと認めた引き当てであり、給与における男女平等の方針を考慮にいれています。フェアトレードのマーケティングおよび輸入組織は、生産者からの要請に応じて生産能力造成を支援し、公正価格設定ができるようにしています。

原則5:こどもの労働、強制労働のない社会

組織は、児童の権利に関する国連条約、そしてこどもの労働に関する国内・地域法令に忠実に従います。組織は、従業員やメンバー、または内職者の中に、強制労働者が確実にいないようにします。生産グループから直接、または代理人を通してフェアトレード製品を購入する組織は、強制労働者が生産に利されていないこと、また生産者が児童の権利に関する国連条約、そしてこどもの労働に関する国内・地域法令に従っていることを確認します。フェアトレード製品の生産におけるこどもの関与(伝統工芸品の勉強も含む)は、常に公表、そしてモニタリングをし、こどもの幸せ、安全性、教育要件そして遊びに悪影響を与えないようにします。

原則6:差別のないこと、男女平等、女性の経済的・社会的地位の向上、そして結社の自由への誓約

組織は、雇用、給与、研修、昇格、解雇、そして退職を、民族、社会階級、国籍、宗教、障害、性別、性的指向、労働組合、所属政党、HIV/エイズの状態、また年齢に基づいた差別をしません。
組織は、男女平等を推進のための明確な方針と計画を持っており、女性も男性と同じように、生産性を高めるために必要な資料へのアクセスを得る権利、そして、幅広い政策、規制、また彼女達の生活を形成する組織的環境に影響を与える権利を確実に持てるようにします。組織条項および付随規則は、女性達が自身の権利を行使して(メンバーシップのある)組織の一員として活躍し、土地などの財産所有権に関する女性の立場に関わらず、統治体制の中でリーダーシップの地位に立てるようにしています。組織から雇用された女性には、非公式の雇用形態であっても、同一労働同一賃金が支払われます。組織は、女性の正規雇用の権利を尊重し、また女性が雇用の利益を最大限に得ることを保証し、妊娠中または授乳中の女性の健康面そして安全性に特別配慮します。

組織は、すべての従業員が自身の判断で労働組合を結成し、加入、そして交渉をすることを認めます。労働組合の結成、加入、また交渉が法律や政治環境で規制される場合、組織は従業員を財政的に支援し、無償で協力をして交渉に当たります。組織は、従業員の代表者が職場において差別を受けないことを保証します。

原則7:適切な職場環境の確保

組織は、従業員およびメンバーに安全で健康的な職場環境を提供します。職場は、国内・地域法令、そして健康・安全の面でILO(国際労働機関)条約に最低限従います。従業員やメンバー(その他内職者)の就業時間や、就業形態は、国内・地域法令、またILO条約で定められた条件に基づいています。フェアトレード組織は、購入先のグループの健康、そして安全性を意識しています。継続的に健康と安全への関心を高め、生産者グループの健康と安全を強化することに努めています。

原則8:キャパシティー・ビルディング(能力強化)の提供

組織はフェアトレードを通し、疎外された小規模生産者たちが成長できるよう、プラスの影響をより与えられるよう努めます。組織は、従業員または社員の能力・スキルの強化に力を入れます。小規模生産者たちと直接仕事
を行っている組織は、それら生産者の経営スキル、生産能力、そして地方、地域、海外、フェアトレード、その他主流の市場へのアクセスなど、特定の仕事・活動の強化を手助けします。南半球のフェアトレード代理人を通してフェアトレード製品を購入する組織は、これらの組織が、共に働く疎外された生産者グループをサポートするために必要な能力拡大の手助けをします。

原則9:フェアトレードの推進

組織はフェアトレードの目的、そしてフェアトレードを通じて公正な世界貿易の必要性に対する関心を高めています。また、組織の規模に応じて、フェアトレードの目的と活動を呼びかけます。組織では顧客に、機関、製品、市場、そして製品を収穫・製造する生産グループやメンバー達の情報を提供し、誠実な広報そして営業活動を常に行います。

原則10:環境への配慮

フェアトレード製品を製造する組織は、なるべく原材料は持続可能な管理をしている原料を使用し、できる限り地元から取り寄せ、最大限に利用します。消費エネルギーを少なくする技術を利用し、可能であれば、温室効果ガスの排出を最小限に抑えることのできるエネルギー再利用技術を利用します。また、廃棄物が引き起こす、環境への影響を最小に抑える努力をします。可能な限り、有機製法および無農薬栽培を利用することで、フェアトレード農産物生産者たちは、環境への影響を最小限にとどめます。フェアトレード製品のバイヤーおよび輸入業者は、持続可能な原料を元に製造した製品や、環境への影響が少ない製品を優先的に購入します。すべての組織が、再利用または分解可能な材料を梱包にできる限り使用しており、製品の配送もできるだけ船便を利用します

出典:WFTO.com

フェアトレードを必要としている製品と市場の拡大

現在、フェアトレードの市場規模は広がりつつあります。

フェアトレードを必要としている品目はコーヒー豆やカカオ、コットン製品、切花、茶などが挙げられます。どれも開発途上国の輸出品であり、人々の生命線となっている製品ですが、これらは不公平な貿易によって安く買い叩かれ、生産者は適正な収入を得られない状態にありました。

そこでフェアトレードを推進する組織は先述した10の原則、そして国際フェアトレード基準(※1)などを元に適正な価格と公正な貿易を行えるよう働きかけています。また、製品には認証ラベルなどを設け、それらがフェアトレードとして購入されたものであることを証明し、消費者に購入を後押しできる仕組みも作り上げています。これにより世界市場の規模は拡大し、日本でもフェアトレード市場は拡大を続けています。

2017年に発表された国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)のレポートによれば、日本での2016年の市場規模は、対前年比13%増の113億6千万円まで拡大したというデータが発表されました。また、130ヶ国以上の消費者がフェアトレード製品に約78億8,000万ユーロを費やしました。10年前と比較して約5倍となり、この大幅な売り上げの増加は、2017年時点で73カ国で160万人以上の生産者と労働者に利益をもたらしています。フェアトレードを推進する国際的組織の活動や、貿易国の意識の変革によって、公正な貿易が広がりつつあります。

  • フェアトレードを必要としている品目はコーヒー豆やカカオ、コットン製品、切花、茶など。
  • 世界のフェアトレード認証市場規模は2009年から2013年の5年間で1.6倍にまで拡大した。
  • フェアトレードを推進する国際的組織の活動や、貿易国の意識の変革によって、公正な貿易が広がりつつある。

出典: gooddoマガジン、外務省、フェアトレードジャパン

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