
住み続けられるまちづくりを
包摂的で安全かつ強靭(リジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。現在、75億人の世界人口のうちの半数以上が都市に住んでいる。2030年までには10人に6人が都市住民となると予想される。よりよい生活を求めてより多くの人が都市へ移住し、都市人口が増える。しかし、住宅問題は厳しさを増す。2014年、都市人口の30パーセントはスラムのような状態の下に生活していた。その年、8億8000万以上の人々がスラムに住み、都市人口のおよそ半数が、全地球的に、WHO設定の安全基準のおよそ2.5倍のレベルの大気汚染にさらされていた。
都市域は世界の国内総生産の70パーセントを生み出し、温室効果ガスの39から49パーセントに貢献する。その比率は2050年までには70パーセントにまで上昇するものと予想される。都市化――町や都市が形成され、より多くの人が中心地に住んで働くようになり、人口が集中するプロセス――は、21世紀のもっとも重要なグローバルな傾向の一つとなった。それは、経済生産性、包摂的な成長、環境維持を高めるために利用しうる変革の力である。SDG 11は、革新と雇用を刺激する一方で地域の団結と個人の安全を育成するような方法で都市及び他の人間居住地を新しくし、計画することを目指す。
人間居住
国連人間居住計画(United Nations Human Settlements Programme = UN‒Habitat)(www.unhabitat.org)は、都市問題に取り組む先導的な国連システム機関である。任務は総会によって与えられ、すべての人に適切な住居を提供することを目標に、社会的に、環境的に持続可能な町や都市の建設を促進することである。1996年、ハビタット Ⅱとして知られる第2回国連人間居住会議は「ハビタット・アジェンダ」を採択した。これはグローバルな行動計画で、その中で各国政府は、すべての人に適切な住居を提供し、かつ持続可能な都市開発を進めると公約した。2016年10月20日、エクアドルのキトで開かれた「住宅と持続可能な都市開発に関する国連会議(Habitat Ⅲ)」は、「新都市アジェンダ(New Urban Agenda : NUA)」(www.unhabitat.org/new-urban-agenda-adopted-at-habitat-iii)を採択した。持続可能な都市化を最善に進めるためにいかに都市を計画し、管理するかについての新しい枠組みである。会議には167カ国からおよそ3万6000人が参加した。Habitat Ⅲの要請のもとに、UN‒HabitatはNUAの実施、フォローアップ、レビューを支援する国連システム行動を促進するメカニズムを確立し、強化する。12月、総会は、2018年を初めに、UNAの実施について4年毎に報告するよう事務総長に要請した。
UN‒Habitatは「世界都市問題キャンペーン」(https://www.worldurbancampaign.org/)の調整を行っている。グローバルな支援とパートナーシップのプラットフォームで、136のパートナーとネットワークから構成され、生産的、安全な、包摂的な、よく計画された都市を実現するために前向きの都市の変化についての認識を高める。NUAの実施を可能にする他のネットワークや支援プラットフォームには世界都市フォーラム、世界都市デー、世界ハビタットデーなどがある。UN‒Habitatは、もっとも一般的な不十分な都市化の問題に取り組むために、これまでに多くのプログラムやイニシアチブを進めてきた。例えば、以下の通りである。
都市繁栄イニシアチブ(City Prosperity Initiative: CPI)は、効果的な政策介入をデザインする市当局や他のステークホルダーを支援する。また、革新的な解決のために市政機関に技術支援や実質的支援を行う。
参加するスラム街改善計画(Participatory Slum Upgrading Programme)は、スラム街に代表される都市の不均等かつ不平等な開発に取り組む。主要な都市ステークホルダーや関係するコミュニティがスラム街住民の生活改善を最優先するようにする。
より安全な都市計画(Safer Cities Programme)はコミュニティベースかつ市全体で実施され、すべての人に安全、安心を確保できるようにステークホルダーの参加と協力を求める。地方自治体が都市や人間居住地における犯罪、暴力、対立と危険な状態と取り組むための道具となっている。
都市プランニングとデザイン・ラボ(City Planning and Design Lab)は、持続可能な都市計画について地方、地域、国の政府からの支援要請に応える。空間計画を利用して都市開発の各種側面を調整し、価値、経済開発、雇用を生み出すような具体的かつ実施可能なプロジェクトを作り出す。
全国都市政策(National Urban Policy)は、都市化を指示、管理する政府の道具で、新しい、生産的、包摂的かつ強靭な都市開発を進める長期的な共通のビジョンについて、一貫した決定を行えるようにする。
計画都市の拡張(Planned City Extensions)は、公共空間も含む、よりよく機能し、より住みやすい都市居住地のスペースを提供できるように、都市成長を定義して、構築する。公共の基本サービスの費用を削減し、既存の都市への接続性と近接性を確立して、気候変動に強いコンパクトな、連結した、統合された、包摂的な都市をセットする。
都市基本サービス計画(Urban Basic Services programmer)は、四つのプログラム・クラスターに焦点をあわせる。すなわち、都市における移動性、都市エネルギー、水と衛生、都市の廃棄物管理である。都市基本サービス信託基金が2013年12月に創設され、これら四つのクラスターにおけるSDGの実施を支援する。
グローバル・ランド・ツール・ネットワーク(Global Land Tool Network: DLTN)は、グローバル、地域、国家のパートナーの同盟で、土地改革、土地管理の改善、小作人の安全確保を通して貧困の解消に努める。そのために貧困層削減やジェンダー対応のランドツールを開発、周知させる。
つくる責任、つかう責任
持続可能な生産消費形態を確保する。マテリアル・フットプリント(資源の採掘量)は国のニーズを満たすために必要な原材料の量を反映する。2010年、開発先進国のマテリアルフットプリントは開発途上国のフットプリントと比べてかなり高く、それぞれGDP当たり23.6キロに対して14.5キロであった。開発途上地域のマテリアル・フットプリントは2000年から2010にかけて増加したが、非金属鉱物が最大の増加であった。国内の物的消費とは経済プロセスに使われた天然資源の量である。2010年、開発先進国における国民1人当たりの国内物的消費は、開発途上地域のそれに比べ72パーセント高かった。SDG 12は、環境に有害な材料の管理に関する特定の政策や国際協定のような措置を通して、消費や生産パターンを促進することを目指す。ゴールが2020年までに達成したいと目指すターゲットは、そのライフサイクルを通して化学物質や廃棄物を環境上健全に管理し、それらが大気、水、土壌に放出されるのを大幅に減らし、人間の健康と環境に対する悪影響を最低限に抑えることである。
有害廃棄物と化学物質
毎年国境を越える何百万トンもの有害廃棄物を規制するために、加盟国は1989年の「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約(Basel Convention on the Control of Transboundary Movement of Hazardous Wastes and Their Disposal、1989年)」(www.basel.int)について交渉した。この条約はUNEP が管理し、185カ国が加入している。1995年に強化され、安全な廃棄技術を持たない開発途上国への有害廃棄物の輸出が禁じられた。条約は、国境を越えた危険な廃棄物を輸送、投棄することを減少させることを加入国に義務付けた。1999年、加入国政府は「バーゼル損害賠償責任議定書」を採択した。これは不法投棄や有害廃棄物の事故による流出の際における財政的責任の問題を取り上げている。
オゾン層の破壊
オゾン層とは成層圏におけるオゾン分子を意味し、地表よりおよそ15から35キロメートル上空にある薄いガスの層で、太陽の有害紫外線から地球の表面を保護する。1970年代半ば、冷蔵庫、エアコン、工業用洗浄に使用されるクロロフルオロカーボン(CHCs)など、ある種の人工化学物質が大気のオゾンを破壊しているとの仮説が発表された。このことは大きな反響を呼び、国際的な懸念が高まった。紫外線に長時間さらすことは皮膚ガンや白内障、人間の免疫機能の低下の原因となり、また作物や野生動物、生態系に損害を与えるからであった。オゾン層の実際の枯渇についての確かな証拠は1980年半ばに発見された。
この課題に応えて、UNEPは、歴史的意義のある「オゾン層の保護に関するウィーン条約(Vienna Convention for the Protection of the Ozone Layer、1985年)」とモントリオール議定書(Montreal Protocol、1987年)」とその「改正(Amendments)」についての交渉を支援した。UNEPが運営するこれらの条約のもとに、クロロフルオロカーボン(CHCs)は2010年に世界的に廃止となり、例外的に限られた使用も2016年には廃止された。その他のオゾン層を枯渇させる物質も廃止になった。モントリオール議定書加入国は代替フロン(HCFCs)の廃止も進めている。UNEPオゾン事務局(UNEP Ozone Secretariat)は、オゾン層枯渇物質は全地球的に98パーセント削減され、成層圏にオゾン層回復の兆候が見られると発表した。今後もオゾン層破壊物質のすべての排出を停止し続けるならば、今世紀半ばには1980年のレベルまでオゾン層を回復させることができるかもしれない。
気候変動の緩和
2016年10月、モントリオール議定書加入国は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)の使用を制限する「キガリ改正(Kigali Amendment)」を採択した。HFCの廃止は1億500万トンの温室効果ガス相当の二酸化炭素の排出を防止するものと期待される。また、オゾン層の保護を続けながら、2100年までに地球の温度摂氏0.5度の上昇を回避できると期待される。
気候変動に具体的な対策を
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。気候変動は今やすべての大陸のすべての国に影響を及ぼす。人々はその重要な影響を経験している。変わる気象のパターン、海水位の上昇、より厳しい気象の出来事、などである。人間活動による温室効果ガスの排出は今や史上最高のレベルにある。2016年4月、175の加盟国は歴史的なパリ協定に署名した。それは地球の温度を摂氏2度以上上昇させないようにする野心的な気候変動対策の舞台を設定している。新しい協定は気候変動のペースを緩め、持続可能な低炭素未来に必要な行動と投資を強化することを目的としている。
気候変動はしばしば災害を悪化させた。1990年から2013年にかけて、160万の人々が国際的に報道された災害で死亡し、年間の死亡傾向は上昇した。その結果、より多くの国が、必須義務として、国及び地方の災害リスク軽減戦略を実施している。2015年、83カ国が災害危機管理のために立法もしくは規則を有していた。SDG 13は、気候変動とその影響と闘うばかりでなく、気候に関連した災害や自然災害に対応するレジリエンスを構築するための緊急な行動を求めている。
2015年3月、第3回国連防災世界会議が仙台市で開かれ、国連加盟国は「仙台防災枠組み2015-2030(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015‒2030)」(www.unisdr.org/we/cordinate/sendai-framework)を採択した。2015年12月、加盟国はパリで開かれた国連気候変動会議(COP21)で「パリ協定」(https://unfccc.int/process-and-meetings/the-paris-agreement/the-paris-agreement)を採択した。協定の中で、すべての国は、世界の温度の上昇を摂氏2度以下に抑え、かつできれば摂氏1.5度以下に抑えるよう努力することに合意した。
気象と気候
気象の予測から気候変動の調査研究、自然災害の早期警報まで、世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)(https://public.wmo.int/en)は、地球の大気の状態と動き、その海洋との相互作用、それが作り出す気候、その結果である水資源の分布などに関して正確な情報を適時提供するグローバルな科学的な活動を調整する。WMOは、気象観測、水文観測、その他の観測を行う観測網を確立し、運営するための国際協力を進め、かつそれを容易にする。気象情報の迅速な交換、気象観測の標準化、観測結果や統計の統一発表を進める。また、航空、海運、農業、その他気象に左右される経済社会活動に気象学を応用させる活動も推進し、水利資源の開発を促進する。さらに研究や研修を奨励する。
WMO活動の根幹をなすのが「世界気象計画(World Weather Watch)」である。世界気象計画は、加盟国や地域が運営する観測システムと電気通信網を通して、分単位で最新の世界の気象情報を提供する。これらのシステムは人工衛星、航空機、地上観測所、船舶観測所、そして自動観測装置を持った停泊ブイや漂流ブイを利用する。得られたデータや分析、予報は毎日、自由かつ制限を受けることなく、WMOセンターと各国の気象台との間で交換されている。その結果、コンピューターの発達もあって、20年前には信頼できる予報は2日先までであったが、今日では5日先まででも可能である。
WMOのプログラムは、各国が気象学を応用して生命と財産を守り、経済社会開発を進めることができるように支援する。公共の気象サービスを改善し、海上、航空の旅行の安全を増し、砂漠化の影響を軽減し、農業と水、エネルギー、その他の資源の管理を改善する。迅速な気象情報は干ばつ、害虫、病気による損失を縮小できることを意味する。「熱帯低気圧計画(Tropical Cyclone Programme)」は、熱帯サイクロンの影響を受ける国々が予報と警報システム、防災態勢を改善することによって、破壊と生命の損失を最小限に食い止めることができるように支援する。「災害リスク削減計画(Disaster Risk Reduction Programme)」は、とくにリスク評価、早期警報システム、能力強化に関して、WMOの各種活動と国際、地域、国の機関の活動との統合を図る。
「世界気候計画(World Climate Programme)」は気候に関するデータを収集して保存し、加盟国政府が気候変動と変化に対応できるように支援する。また、差し迫った気候の変化(たとえば、エルニーニョやラニーニャのような現象)やそうした変化の数ヵ月後の影響について、また自然、人為を問わず人間の活動に影響をおよぼす変化について政府に警告する。WMO主導の「気候サービスのための世界的枠組み(GlobalFramework for Climate Services:GFCS)」は、気候に関連する部門での政策決定を支援する科学に基づく気候情報・サービスを開発する。
「世界天気研究計画(World Weather Research Programme: WWRP)」は、大気の構造と構成、雲の物理と化学、気象調節、熱帯気象、天気予報に関する研究の調整を図る。また、加盟国が研究プロジェクトを実施し、科学情報の配布、研究成果を予報、その他の技術への応用するのを支援する。「全球大気監視計画(Global Atmosphere Watch Progamme)のもとに、グローバルと地域の観測地点と人工衛星とが温室効果ガスのレベル、オゾン層、放射性核種、その他の大気中のガスや粒子について評価する。
「水文・水資源計画(Hydrology and Water Resources Programme)」は、地球上の水資源を評価、管理、保存するのを助ける。また、水資源を評価し、水文に関するネットワークとサービスを発展させるための国際協力を促進する。いくつかの国が共有する河川流域内での協力を強化し、洪水の多い地帯では特別の予報を行って人命や財産を守る。
教育訓練計画(Education and Training Programme)」と「自発的協力計画(Voluntary Cooperation Programmed)」は、科学知識の交換、技術的な専門知識の開発、技術の移転を奨励する。「情報・広報計画(Information and Public Affairs Programme)」は、WMOの活動やWMOが取り上げるより広い問題について周知させる。
産業時代の幕開けとともに、大気に「温室効果ガス」が着実に、そして今では危険なまでに増えながら蓄積されてきた。これによって地球上の温度が上昇を続けている。エネルギーを生み出すために化石燃料を燃焼させたとき、森林を伐採して燃やしたとき、二酸化炭素が大気中に排出される。そうした「温室効果ガス」――メタン、亜酸化窒素、その他を含む--の蓄積は増大し、今では地球は巨大な、潜在的には破壊的な影響に直面するまでになった。国連システムはその気候変動に関する活動を通してこの課題に真正面から取り組んでいる(www.un.org/climatechange)。
1988年、利用可能な最善の研究が問題の深刻さを示し始めたとき、二つの国連機関――国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)――が集まって「気候変動政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)(www.ipcc.ch)を設置した。これは、その影響と将来のリスクも含め、気候変動に関する科学を評価し、それへの適応と緩和の選択肢を提供するものである。IPCC評価は、政府が気候に関連した政策を立案する際に科学的根拠を提供し、気候変動に関する国連会議での交渉――「気候変動に関する国連枠組み条約」の基礎となる。パネルは、問題に関する科学的な研究を見直し、問題に対して法的に拘束力のある、調整の取れたアプローチを発展させる。その活動が認められ、同パネルは、アルバート・アーノルド(AI)・ゴア・ジュニア元米副大統領とともに2007年ノーベル平和賞を受賞した。
世界の科学者の警告を心に留めて、世界の国々は1992年にリオデジャネイロに集まり、「気候変動に関する国連枠組み条約(United Nations Framework Convention on Climate Change)」(www.unfccc.int)に署名した。
1995年、IPCC科学者が提示した証拠によって、1992年の目標は地球の温暖化とそれに付随する問題を防止するには不十分であることが明らかになった。その結果、1977年、条約の批准国は京都に集まり、法的に拘束力のある「議定書」に合意した。この議定書の下に、開発先進国は、1990年のレベルを基準として、2008年から2012年までの間に6種の温室効果ガスの総排出量を5.2パーセント削減することになった。議定書の第一約束期間が2012年に終了した。2012年12月に採択された議定書のドーハ改正のもとに、開発先進37カ国と欧州連合は、温室効果ガスの排出を1990年比で平均5パーセント削減することを約束した。第二約束期間の間に、当事者は2013年から2020年の間に少なくとも18パーセント削減することを約束した。2015年のパリ協定はでは、各国は気候変動の脅威に対するグローバルな対応を強化することに合意した。同協定は、「自国が決定する貢献」を通して最善を尽くし、将来の努力を強化することをすべての当事者に求めている。
国連が、気候変動がもたらす脅威に取り組むために初めて世論を動員した当時は、そうした変化が起こっていることを納得していない人が多かった。しかし、2007年初め、IPCCは、最新の気候モデルの利用、データの収集と分析、もっとも最新の、専門家の審査を受けた科学論文を検討し、90パーセントの確率を持って、深刻な地球温暖化が進行中で、なおかつ強まっていると報告した。同時に、それはある程度は人間の活動に起因するものであり、さらに重要なことは、その影響はすでに現れており、大きな是正措置が採られなければそれはさらに悪化するであろう、と発表した。パネルの報告、「気候変動、2007年」は40カ国の気候科学者や専門家が全員一致で同意し、また113カ国政府が支持した。報告は、温室効果ガスの排出が現在のペースで増え続けるならば、世界の平均温度は今世紀末までに平均3度(摂氏)上昇することを示している。その結果、より極端な温度、熱波、新しい風のパターン、いくつかの地域のより激しい干ばつ、豪雨域の拡大、氷河や北極氷原の溶解、世界の海面水位の上昇が発生するであろう。そして、熱帯性サイクロン(台風やハリケーン)の数は減少すると予測されるものの、その激しさは増すと思われる。海水温度の上昇によって、最大風速が速まり、集中豪雨が多くなる。
「兵庫行動枠組み2005‒2015年」が、神戸で開かれた2005年国連防災世界会議で168カ国の参加国によって採択された。それには気候関連の災害による災害リスクの削減に効果的だと思われる勧告も含まれている。2015年3月に採択された「仙台枠組み2015‒2030年」は、この努力を踏襲している。しかし、究極的には、唯一の効果的な道は、大気の持続可能性を回復させることによって地球温暖化の波と闘うことである。幸運なことに、そうする手段はすでに概説されている。世界の人々がともにそれを実現させようとするならば、必ずやその目標は達成されるであろう。
海の豊かさを守ろう
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。海洋は、沿岸資源や海洋資源とともに、人間の福祉や世界の経済社会開発において不可欠の役割を果たす。とくに沿岸部に住む人々にとっては極めて重要である。これらの人々は2010年で世界人口の37パーセントを占めていた。生物学的に持続可能なレベルにおける世界の海産魚資源の割合は1974年の90パーセントから2013年の69パーセントへと減少した。2014年、国家管轄権下にある海洋環境(沿岸部から200カイリまで)の8.4パーセントが保護下にあった。2000年から2016年までは、保護海域によって完全にカバーされた主要生物多様性海域の比率は15パーセントから19パーセントへと上昇した。SDG 14は、海洋かつ沿岸の生態系を持続可能なように利用し、海洋汚染を防止し、かつ海洋資源を持続可能な方法で利用することによってSIDSやLDCsが受ける経済的恩恵が増大するよう求めている。
公海漁業
商業的に価値のある漁業資源の多くの種は乱獲のために枯渇寸前である。また公海上で違法な、規制を受けない、未報告の漁業が多発している。こうしたことから、広い海域を回遊し、または1カ国以上の排他的経済水域を回遊する魚種を保存し、持続可能な規制を行うための措置が求められるようになった。1995年の「分布範囲が排他的経済水域の内外に存在する魚類資源(ストラドリング魚類資源)及び高度回遊性魚類資源の保存及び管理に関する1982年12月10日の海洋法に関する国際連合条約の規定の実施のための協定(略称:国連公海漁業協定)(1995 Agreement for the Implementation of the Provisions of the United Nations Convention on the Law of the Sea of 10 December 1982 relating to the Conservation and Management of Straddling Fish Stocks and Highly Migratory Fish Stocks )」は、長期的な保存と持続可能な利用を確保することを目的に、これらの魚類を保存、管理するためのレジームについて規定している。締約国は欧州連合も含めて84カ国である。
海洋環境の保護
沿海部や海域は地球の表面積のおよそ70パーセントを占め、地球の生命維持システムにとって不可決である。海洋環境を保護することが国連の主要関心事項の一つとなった。UNEPは海洋や海域へ世界の注意を向けさせる活動を積極的に進めてきた。ほとんどの水質汚染は産業廃棄物、鉱業、農業活動、車からの排出ガスに起因する。これらの汚染のいくつかは海岸から何千キロも離れた内陸部で発生する。「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画(Global Programme of Action for the Protection for the Marine Environment from Land‒based Activities)(www.unep.org/gpa)は1995年にUNEPの主導のもとに採択され、そうした汚染から海洋、河口、沿岸水域を保護する国際的取り組みでは画期的な出来事だと見なされている。漂流・漂着ごみが環境へ流入するのを防ぐため、「海洋ごみの国際パートナーシップ(Global Partnership on Marine Litter: GPML)」が2012年6月に「Rio+20」で打ち上げられた。GPMLは、「廃棄物管理に関するグローバル・パートナーシップ(Global Partnership on Waste Management)」を支援することとは別に、海洋ごみを減らし、管理することによって人間の健康とグローバルな環境を保護する。
世界の海運業は劇的に拡大したにもかかわらず、船舶からの油濁汚染は1980年代にはおよそ60パーセントも削減され、その後も減少し続けた。これは、一部、廃棄物の処分管理の方法が改善されたことや、一部、各種条約による規制が厳しくなったことによる(http://oils.gpa.unep.org)。国際海事機関(International Maritime Organization:IMO)(www.imo.org)は、船舶に起因する海洋汚染を防止し、国際海運の安全を向上させる国連の専門機関である。先駆者的な存在の「油による海水の油濁防止に関する国際条約(International Convention for the Prevention of Pollution of the Sea by Oil)」は1954年に採択され、5年後の1959年にIMOがその責任を受け継いだ。1960年代以来、IMOは数多くの対策を講じ、海上での事故や油濁を防止し、事故や油濁の影響を最小限にくい止め、また陸上での活動から生じる汚染も含め、海洋汚染と闘ってきた。
1973年の「船舶による汚染の防止のための国際条約(International Convention for the Prevention of Pollution from Ships)」と1978年の議定書および1997年の議定書(MARPOL Convention)は、事故および作業による油による汚染ばかりでなく、化学物質、包装された商品、下水や生ごみによる汚染もその対象としている。そして、付属書VIは、船舶による大気汚染防止の問題を取り上げ、また2011年に採択されたエネルギー効率化措置による温室効果ガス軽減について規定している。MARPOL条約はまた、二重船体構造もしくは衝突または座礁の際に貨物を同等に保護する設計を取り入れることをすべての新規タンカーに義務付けた。さらに別の条約は、油による汚染損害対応計画を作成するよう加入国に求め、また有害物質が関係する事故の対策を実施するよう求めている。IMOはまた、貨物として、また燃料として運ぶ油による油濁に関連して、補償を請求するプロセスを容易にする責任と補償のシステムも確立した。
IMOはまた、1972年の「廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(Convention on the Prevention of Marine Pollution by Dumping of Wastes and Other Matters: LC)」と1996年議定書にも責任を有する。これは、許可リストにあるある種の物質を除き、廃棄物を海に投棄することを禁じたものである。
船舶のバラスト水に含まれる潜在的に侵襲性の水生生物の拡散を防ぐIMOの重要な条約が2017年9月に発効した。「2004年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約(International Convention for the Control and Management of Ships’ Ballast Water and Sediments, 2004)は、バラスト水および沈殿物に含まれる水生生物もしくは病原体を除去、無害化、もしくは船舶に積載もしくは外部へ排出する際にそれらが含まれないようにバラスト水を管理するよう船舶に求めている。IMOはまた、海洋環境を損なう恐れのある防汚塗料を船舶に使用することを禁じている。およそ15の特別敏感海域(Particularly Sensitive Sea Areas: PSSAs)が世界中に指定されていて、そこではある種の活動を制限する特別措置が取られている。回避すべき海域、船舶の航路、報告制度などである。
IMOの技術協力計画や能力強化プロジェクトは、海洋環境を保護し、かつ気候変動との闘いに貢献するために、各国がIMOの環境条約を批准、実施できるように支援している。
出典: 国際連合広報センター