アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)インフラストラクチャー アウトルック2040 輸送部門の展望

2040年までの輸送部門の展望

アフリカにおける人口、経済生産高、貿易フローの成長により、2040年にかけて、地域レベル・大陸レベルでの貨物輸送・港湾設備・航空旅客輸送に対する需要は増大するだろう。需要の増大は現行のアフリカ地域輸送インフラストラクチャー網(ARTIN)の発達を上回り、需要と供給のギャップを広げ、もしそれが放置されるとすれば将来の成長の足枷となるだろう。

ARTINの目的は、現代的・効率的な地域輸送インフラ網とゲートウェイを介して、アフリカの大規模な消費・生産拠点(大都市、鉱業中心地、大規模農業生産プロジェクトなど)と世界の他地域を結びつけることである(図3.1、第8章セクション8.2の地図を参照)。

ARTIN回廊を経由する貿易は、貿易全体を上回るペースで成長し、貿易全体に占める比率は、2009年の13%から2040年には18%に拡大すると予想されている。現行の構造では、ARTINの道路網は規格・特性の異なる一連の各国国道で構成されている。将来的にこのネットワークは、(欧州横断ネットワークのように)現代的な特性と効率的な管理・保守システムを備えた「アフリカ域内道路ネットワーク(Regional African Road Network)」を実現するため更新されるべきである。40年前、アフリカ各国の首脳により、アフリカの各地域間の接続性を改善するため、アフリカの首都及び主要都市を結ぶ大陸規模の道路網が、9本のアフリカ幹線道路(Trans-African Highways、TAH)という形で定義された。今日、このTAHのうち約25%が完成しておらず、PIDAの主要目標の一つは、今後30年間でこのTAHの建設を完了することである。

「アフリカ輸送部門展望2040(Africa TransportSector Outlook 2040)」は、地域レベル・大陸レベルの輸送に関連する政策、既存のインフラ及び効率改善のポテンシャルを考慮しつつ、地域的な輸送需要とその結果生じるインフラ・ギャップを評価している。表3.1に見るように、多くの回廊地帯ではかなりの非効率性が生じている。

今後30年間、アフリカの輸送計画担当者は輸送環境における重要な変化に対応しなければならないだろう。現状で、輸送システムの非効率性により抑制されている需要が、システムの改善によって解放される。地域統合の着実な前進により、海外との貿易から同一REC内の国家間の貿易へというシフトが生じるだろう。アフリカ経済の構造的変化によって、より高付加価値の産業が育まれ、貿易財の特性が変化し、地域統合が強化されていく。国民一人あたり所得の増大と都市化の進展により、航空旅客輸送サービスへの需要が高まるだろう。

港湾輸送(及びその成長分)の主力はコンテナ貨物となり、ARTIN回廊地帯に沿ったマルチモーダルなコンテナ輸送の重要性が高まる。内陸国からの通過輸送は、今後30年間で10倍以上に増大するだろう。計画されている効率改善プロジェクトがすべて完了するとしても、予想される需要は、2040年までにARTIN回廊のすべての地域において容量を超過するだろう。

1 将来的な貨物輸送需要

アフリカにおける将来的な貨物輸送需要は、国際貿易の成長と連動している。各国が加工を通じて輸出品の付加価値を高め、所得を増大させた消費者がより高額な商品を輸入し、製造業・鉱業がより高額な加工設備を輸入するなかで、国際貿易は今後30年間で7倍(36億トン相当)に成長すると予想されている。

将来の港湾取扱可能量は、大規模な新規鉱山プロジェクト・原油を除けば年6~6.8%、新規の鉱山プロジェクトを含めれば年5.8~7.8%で成長すると予想されている。6カ所のARTIN回廊は、アフリカ西部(テマ及びラゴス)、アフリカ東部(モンバサ)、アフリカ南部(モザンビークの港湾すべて)において現在計画されている港湾・ターミナル拡張プロジェクトが完了したとしても、2020年にはコンテナ処理能力が不足する状況に陥っている。

コンテナ輸送の成長は、総取扱可能量の伸びを上回ると予想されている。コンテナ輸送の成長率は、2020年までは年平均10.6%(現在は抑制されている需要が回廊の改善により一部開放される分を含む)、2020年から2040年までも引き続き7.9%になると予想されている(抑制されている需要がすべて解放される)。正味の結果として、コンテナ輸送は2020年までに3800万TEU(20フィートコンテナ相当単位)、2040年までに1億7600万TEUへと14倍に増大するだろう。

バルク輸送の成長は、鉱山開発、特に鉄鉱石及びボーキサイト鉱の開発に左右されるだろう。またARTIN回廊では新規の石炭輸送やカッパーベルト諸国からの銅鉱の増大が期待されているが、専用輸送施設を活用することになる鉄鉱・ボーキサイト鉱ほどの取扱量には至らない。11ある越境鉄道路線のうち6路線については、運用と設備の大幅改善により優れた効率性を実現したとしても、2020年までには物理的な拡張が必要になるだろう。鉄道サービス用の効率的なモードシェアによって需要に対応するには、越境鉄道路線11路線すべてを2040年前に拡張する必要があろう。

2012年から2020年のあいだに、ARTIN道路回廊は、促進措置(ワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)及び「スマート回廊」を含む)及び道路の改善(規格の修正、交差部分のラウンドアバウト化、バイパスによる都市地域の迂回、追い越し・登坂車線など)により、効率改善と容量拡大をめざして現代化する必要があろう。

港湾の大幅な拡張も実施する必要がある。11カ所の回廊のうち9カ所では、新たな現代的な鉄道を敷設する見通しがある。これらの回廊では2040年までに輸送需要が1000万トンを超えると予想されている。これらの予想では、南アフリカのトランスネット鉄道と同程度の効率で鉄道が運用されることを想定している。

地域的な鉄道基本計画は、新規港湾の開発及び港湾の拡張と関連づける必要があり、これまでのような鉄道計画手法からは大きく離れることになろう。内陸国とのさまざまな回廊を通じた地域的輸送は、新規の港湾処理能力の開発が少数の効率的な立地に集中するとの想定の下で、これらの内陸国と海洋とを接続する新たな現代的鉄道の敷設を正当化しうる量に達すると予想されている。

2 航空旅客輸送の将来的な需要

国際航空旅客フローは、2020年までに40~90%、2040年までには現状抑制されている需要も含め、2.5~6倍増大すると予測されている(図3.2)。ただし、アフリカ諸国全体及びRECにおける航空旅客フローの増大は、引き続き、観光客の主要な訪問先国及び主要な地域航空輸送ハブである9カ国が中心となろう。すべてのRECにおいて欧州向けの輸送需要が大きく、いくつかのRECでは中東向けの需要が好調となり、アジア向け・北米向けの需要が大きいRECは少数であろう。需要の増大により、航空旅客サービス、航空管制システム、空港の処理能力といった面で、ARTIN航空輸送システムのギャップ(能力不足)が露呈するだろう。

7カ所の空港では、2040年までに年間旅客数300万人以上の需要に直面する(2030年までに200万人以上)。これらの空港については拡張が必要になる。そのうち2カ所(ヨハネスブルクとカイロ)は、2040年までに旅客数が1000万人以上に達する可能性がある。基本ケースの予測でも、17カ所の空港では2020年までに処理能力を超過してしまう。4カ所ではすでに拡張が計画されているが、予想される航空交通の成長を処理するためには、アフリカ大陸の空港はすべて2040年までに拡張ないし新規空港の開設による補完が必要になる(現在の航空旅客水準に比べて350%~600%増)。

高度航空管制システムは2020年~2030年に飽和状態に達し、衛星ベースの航空管制システムに置き換えていく必要がある。アフリカ大陸の多くの地域における空港内及び空港相互の通信システムのギャップにも対処しなければならないだろう。こうしたシステムは時代遅れになっており、航空機利用の効率低下及び航空輸送のコスト増大につ な が っ て い る 。 衛 星 航 法 を 用 い た 「 Single African Sky(アフリカの空は一つ)」アプローチが検討されている。

3 「展望2040」に基づく主な課題

アフリカは短期・中期・長期にわたり、輸送部門における大規模な投資プログラムを実施する必要がある。その目的は、計画されているプロジェクトによる処理能力追加も含めて、予想される輸送需要に効率よく対応するため、ARTIN回廊及びARTIN航空輸送システムに関して、輸送インフラの効率及び処理能力を高めることである。アフリカ大陸が取るべき戦略的アプローチとは、輸送モードの最適の組み合わせと合わせて、より効率的な最善の回廊を選択し、それによって総合的な経済コストを最小限にし、荷主及び乗客にとっての価格を引き下げることである。輸送部門が直面している課題は、大別して二つある。

第一に、次のようなプログラム及びプロジェクトをどのように創り出すか。

  • 2020年時点の貿易予測(多くのケースで100%~200%増加する)に対応するため、既存の運用を拡張する。

  • 2020年以降2040年までの将来的な輸送量増大(年6~10%の経済成長により、現在の貿易水準の6倍~10倍もの増加となる)に対応するための選択肢を提供する。

この課題は特に、内陸国からの通過輸送に関連するものであり、場合によっては、今後30年間で10倍~14倍に増大すると予想されている。

第二に、次のようなやり方で地域回廊インフラをどのように開発していくか。

  • 鉄道および/もしくは道路輸送との連携による、新規港湾の立地の見極め及び開発• 標準軌鉄道路線導入の可能性• マルチモーダル輸送の利用拡大
  • 特に港湾・鉄道施設双方に関する、またそれにふさわしい輸送量がある場合には道路に関するインフラ投資の提供において、PPPイニシアチブの最適な利用
  • サービス水準の向上、コストの削減につながるような効率的な航空サービス、航空ハブの開発
  • インフラの資金調達及び保守、越境的な道路及び鉄道輸送の効率的な組み合わせ、貿易及び地域統合を促進するような国境管理施設及びプロセスを確保するための政策的挑戦

出典:アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)

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